「後姿」―あですがた―
着付けの先生や謡曲もやっていた猫ばあの母。
幼い頃に遊んでいた「紙ぼっちゃん」を思い出し、
和の知識を生かして独学で和紙人形を作り始めたのが20年前。
そのうちに、
「後姿」に拘るようになっていったのです。
日本の後姿の美。
「背中が語る」なんて言いますが、立ち姿、帯、髪の結い方など…
表情を想像させる余白に魅力を見い出すようになっていきました。
それを飾れるようにしたり、更にはもっと身近で使えるものとして箸袋などをオリジナルで作るようになり知人にあげたりしていました。すると、
「お友達のプレゼントに」
「今度のお茶会に出したい」
「海外に行くのでお土産に」
など、だんだんと評判に。そしてある時、
「うちのお店で使いたい」とお話を頂き、初めて商品として船出したのです。
形もシンプルになり、やはり海外の方には大変喜ばれたようで、
「軽くて」「小さくて」「カワイイ」
と持ち帰られる方が多かったそうです。
猫ばあ母が脳梗塞で倒れるまで創作は続きました。
最近、
猫の居場所を確保するための大掃除をしていたところ、
仔猫がスッと物置の奥に入ってしまい出そうとしていると……
すっかり忘れていた和紙人形の道具を発見したのです。
「ここ掘れワンワン」ならぬ「ココ見れニャン」です(笑)
初めは思い出話だけだったのですが、
当時お手伝いしていた猫ばあが急に「やってみようかな」と。
ひとつひとつ工程を思い出し、再現作業が始まりました。
なかなかに苦戦。
でも出来上がったそれは、やはり素敵でした。
猫ばあの新たなセンスも加わり、もう一度、ゆる~く船出します。
minneのメールマガジンに掲載していただきました。ありがとうございます!